トイレと読書

自宅のトイレ限定の話しではあるが
俺にとってトイレという場所は
排泄をする場所というよりも
読書をする場所という
意味合いが大きい

だから自宅でトイレに入るときは
必ず本を片手に持っている

毎日何かしら本を買っているが
それらはすべて
トイレで読むための本だと言っても
過言ではない

いつからか分からないが
もう随分前から
俺にとってトイレとは
そういう場所になっていた

それゆえ
本棚の前で
どの本を持ち込もうか逡巡していると
小6の愚息に
「ああ、糞をするのか」などと言われる

いっそトイレに
本棚を移動するか
あるいはトイレを
本棚の前に移動したい

いつか
きっと


まあ、そんなわけで
自宅トイレには
持ちこんだままの
読みかけの本が積まれている

今、トイレにある本の中に
川端康成の「掌の小説」がある

これは一編が二、三ページのものが中心なので
トイレの読書にぴったりだ

うまくすると
おしっこでも一編読めてしまう

しかもこの短編集には
なかなかの傑作がそろっている

三島由紀夫は「夏の靴」を
吉村昭は「化粧」なんかを取り上げて
傑作だとしている

俺は「バッタと鈴虫」「写真」「離婚の子」あたりが好み


「雨傘」は俳優座の養成所を受けたとき
一次試験で朗読させられた
(思わずトイレで朗読してしまうぜ)


短編小説って
粗筋紹介みたいのが多いけど

ここに載っているのは
どちらかと言うと詩に近い

どこか不条理で
滲んだような
色彩感覚がいい

繰り返し読める
そういう小説

もしもトイレに
本を一冊しか持ち込めないとしたら
これは多分最有力候補

恐るべし
康成


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