乾いた風


今日から「ヤコブ・クラヴィエツキ」の稽古。
三月中は飛び飛びだが、
とにかく、始まる。

稽古初日の、
最初の読み合わせというのは、
これほど面白いものが
世の中に他にあるのか、
というくらい
面白い

まあ、自分の書いた作品について
あれこれ言われるのは避けがたく、
これはもう真摯に応えていくしかない

それはそれとして
面白いのは、
台本に描かれた世界、
これまでどこにも存在しなかった世界で、
複数の俳優たちが
ばったり出くわす
そのドラマだ

ある者は
興奮状態で駆け抜け、
ある者は
道を見失い、行き倒れ、
そして、ある者は
作者さえ気づかなかった
とんでもない秘密を
見つけ出す

緊張感に質というものがあるとすると、
この最初の読み合わせの緊張感は
避けられない喧嘩が始まるまでの
ほんの数秒の間に感じる
あの緊張感に似ている

喧嘩が始まる
ほんの数秒前に
必ず吹くという
あの乾いた風

あの風が
稽古初日にも
必ず
吹くのだ

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